【国際安全保障論】1-3.戦争の原因 平和解決の条件

さてここまでは戦争のコストというものを定式化しました。
このコストから何が見えてくるのかということで、ここではこの国際紛争における平和解決の条件というものを探っていこうと、何故ここでこういう議論をするかというと先ほど定義した戦争コストです。
 
戦争コストというのは実は国際紛争における平和解決の条件について非常に重要なヒントを与えてくれるものなんです。ではその準備体操としてまず先ほどと似たものです、つまり外交を通して政治決着したとき、どうなるかってところことから始めます。先ほど外交解決のところ、pとおいてたんですけども、ここでは便宜上、xとおいておきましょう。
 
もしそうであるならば先ほどと同じ要領ででこの紛争において外交決着が図られるとすればS1の利得は0からxの間という距離ということでxということです。それからS2の外交決着の利得というのは1とxの間ですから1-xと仮にこの外交交渉というものを国境線がxというところに決まるんであれば、このような利得を双方の国は得られるであろうという風に考えると、そこからいえることは何かということなんです。
 
ちょっと分かりづらいかもしれないですが重要なので見ていきましょう。
 
これはもしxが先ほど真ん中においてましたけど位置によってそれぞれの国のインセンティブが変わっていくことということを図示しているものなんです。仮に今度はまず先に状況としてxがこのS1の戦争利得、つまり、p-c1なんですけど、それよりも左にあるとしたら、どういうことが起きるのか。
 
もしこれxがp-c1より小さければ当然S1にとってはp-c1の方が距離が大きいわけです。そうするとこれ外交と戦争という比較をしたときに二つのオプションを考えたときには戦争を選好してしまう。つまり、そっちのほうが利得が大きってことが言えてしまうんです。
 
今度、S2にとってはどうかと。ここにもし、x1があったらって話を今しています。そうするとS2にとっては非常に領土が大きくとれるということを想定しうるけです。そうするとxと1の間の利得っていうことで1-xというのが外交から得られる利得もし、じゃあここで戦争をS2が選んでいたとしたら何が起こるかというとこの利得なんです。p+c2と1の距離というものをとると1-(p+c2)ですから、そうすると結局は1-p-c1です。
 
1-p-c2ということです。であるならば当然S2は外交を選んでいくと選好するとうことがいえる。今度はこのxの1がp-c1とp+c2の間にあったらどうなるのかと
いうとこれは、先ほどの要領で考えるとS2にはとっては外交でこれで獲得した方がより多くの領土が得られる。あるいはそこから得られる評価値ですよ
高くなると翻って戦争であれば目減りしてしまうと戦争のコスト分だけという風に考えるんであればS1にとってはxの方が当然p-c1よりも大きいという意味でオプション1の外交を選好するという同様にS2についても同じことでいるんです。
 
まだまだここの外交選んだ方が戦争から得られる利得が大きいという意味で
S1にとってもこの場合xがこの位置にあった場合にはまだ外交を選択するインセンティブがあるじゃあ今度最後の場合でxが今度こっちの右の方に来た場合にどうなるかというとこれはS1にとっては都合がいいわけです。っていうのも、0からxの距離というのは戦争を行なった場合よりも非常に大きな利得が得られるということを意味してますのでそうすると当然外交を選択したい
そういう選好をもつと今度はS2第2国にとってはこれは逆に困ったことにこのxの位置がp+c2よりも右に位置しているとその分だけ外交から得られる利得というのは目減りしてしまってしまうということになるわけです。
 
この比較でいうと戦争から期待できる利得というのは大きくなってしまうとその意味でその場合にはS2を戦争より優先するとでここから何が言えるのかということなんですけれどもそれぞれの国にとってじゃあ、妥結可能な解決策の集合は何かってことです。
 
そうするとさっきの観察からいえることはS2にとってはS1第1国にとってはこの解決かS1にとって解決可能な平和解xていうのはこのp-c1より右の方にあれば大きい、つまり右の方にあればいいてことです。同様にS2にとってはどのようなxが解決彼にとっては妥結可能か、というと結局は、そのxがp+c2ですよね、これ戦争の期待利得です。
 
それより左にあればいい、つまり小さくなればいい、ていうことなんです。それから、それぞれの国にとってのこの平和による外交による平和的解決の可能な条件であると先ほどこれは話したところでは戦争は一方が仕掛けることで開戦できるかもしれないんですけど平和的な解決外交交渉は双方の合意が必要であるという話をしました。
 
であるならば双方にとっての妥結可能な範囲てことを考える必要が出てくるですね。そうするとS1、S2にとってのインセンティブをまとめあげたものがこれである。つまりこの、ここではS1にとっての交渉妥結可能範囲とS2にとっての交渉妥結範囲というものの重なり合った場所この集合ですね、双方の
をまとめたものがあのこの平和解決になってくるとでは、ここから何が見えるかというと実は重要な示唆になりまして国際紛争における戦争回避のための平和解決の存在がどこで有りうるのかということなんです。
 
つまりここではこのモデルが示すのは外交における妥結は双方にとって戦争よりも合理的つまり自らの選好、インセンティブに合致している時に平和による外交妥結が可能であるということがいえるんです。
 
ということでその集合妥結可能なxの範囲というのはp-c1とp+c2の間であると
この赤で示した部分であるということが言えます。